アウトプット

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誰が池江選手を傷つけたのか

 昨日、池江選手が白血病を公表したことがニュースとなりましたが、今日、桜田五輪相が池江選手に対するコメントをしたものの、配慮を欠くものだったとして撤回、謝罪する事態となりました。

 全文は報道を見てもらえればわかると思うのですが、論旨としては「メダル獲得に期待のかかる池江選手が重い病気に苦しむのは誠に残念であり、早期の回復を願っている。水泳界を牽引する存在になりつつある彼女の東京オリンピック出場が危ぶまれるのは開催が近づくにつれボルテージが高まりつつある現状において残念なことだ」ということだと思います。

 この論旨が原文をよく表しているかどうかは別として、私が気になったのは、

 

桜田五輪相のコメントは配慮を欠くものだったのか

②池江選手に関するコメントを求める取材対象として桜田五輪相は適切だったのか

 

ということです。

 ①については、すでにSNS等で多くの議論がなされており、その大半が配慮を欠くものだという意見となっています。五輪相という立場上、東京オリンピックを盛り上げたいという事情があるにせよ、「がっかり」「盛り上がりが下火になる」といった言葉は明らかに配慮を欠く、もっと言えば池江選手を傷つけるものであることに議論の余地はありません。「論旨としては~だから言葉選びを間違えただけで内容に問題はない」とする意見も見られましたが、このような状況でなにより求められるのは池江選手を傷つけず、励ますコメントであるのだから、内容、言葉ともに細心の注意を払うべきです。個人的には内容そのものも配慮を欠くものだと思いますが。

 もっと議論されるべきと思うのは②のほうです。

池江選手の活躍は周知のとおりで、東京オリンピックでの活躍も期待されており、一見、桜田五輪相に取材が行くのは間違っていないように思われます。しかし、まだ池江選手は代表選手に選ばれている段階ではなく、メディアや国民が勝手にオリンピックでの活躍を期待しているだけであり、それだけで桜田五輪相に結び付けるのはやや強引といえるのではないのかというのが私の考えです。私は、仮に政治家にコメントを求める必要があるのならば、自身も水泳選手として活躍し、かつ、現在スポーツ庁長官という立場にある鈴木大地氏が最も適任であり、彼だけで十分と考えます。

 ここでタイトルの「誰が池江選手を傷つけたのか」という話につながります。もちろん、発言の当事者である桜田五輪相が非難されるのは当然ですが、私は、彼を取材対象としたメディアから、半ば失言を期待しニュースにしてやろうという姿勢を感じずにはいられないのです。メディアに求められるのは何なのか、そして私たちはメディアに本当に求めるべきことを理解しているのか、考えるべきだと感じました。